第179章

桐谷憂の瞳が瞬時に鋭利な刃物のような光を帯びた。成田響を睨みつけるその表情は、今にも食い殺さんばかりだ。

「お前、なんでここにいる」

以前、誰かが空見灯を成田響の恋人だと勘違いしていた件を思い出し、腹の底から怒りが湧き上がってくる。この野郎、どこにでも湧いて出やがる。灯が誰の妻なのか忘れたわけではあるまいな。

成田響も不穏な空気を察知し、気まずそうに半歩後ずさった。

「あの、警察に呼ばれてさ。その、なんていうか……」

彼はしどろもどろで、要領を得ない。空見灯はバツが悪そうに桐谷憂の腕から抜け出した。

「警察があなたに何の用なの」

この病院は警察と連携しており、保釈中の就医が必要...

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