第183章

桐谷憂が冷ややかに退室を促すと、病室は瞬時に凍りついたような静寂に包まれた。

一之瀬楓花は歯噛みするほど悔しげに彼を睨みつけ、勢いよく立ち上がった。

「いいわ、桐谷憂。もう二度と私に頼ろうなんて思わないことね」

彼女が踵を返して出口へ向かうと、桐谷憂が背後から追い打ちをかけた。

「別荘は売りに出す。早急に出て行ってくれ」

「桐谷憂!」

一之瀬楓花は憎々しげに振り返る。この親不孝者は、あろうことか住む場所さえ与えないと言うのか?

私はあの子の母親だというのに!

桐谷憂の眉目は、かつての夫の面影をどこか宿している。それがいっそう彼女の苛立ちを煽った。

「上等よ! せっかくの好機...

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