第184章

空見灯は礼服を直接、桐谷憂の病室へと届けたが、そこに彼の姿はなかった。

彼女は礼服を丁寧にハンガーに掛けると、水色のロングトレーンドレスと男性用スーツを並べて眺めた。不意に頬が熱くなる。なんだか、ウェディングドレスとタキシードみたいだ。

礼服の前に立ち尽くし、彼女はふと、二人が結婚式を挙げる光景を夢想してしまった。

だが、空見灯はすぐに頭を強く振ってその考えを打ち消した。

入籍はもう済ませているのだ。今さら結婚式など、何を考えているのか。

そもそも、二人で最初に交わした『契約三十カ条』は、まだ有効なのだろうか? 彼女は小さく溜息をついた。

コンコンコン!

ノックと共に成田響がド...

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