第186章

誕生日パーティーの当日。本来なら空見灯は、早めにヘアメイクに向かうつもりだった。桐谷憂と共に重要な夜会に出席する以上、彼の顔に泥を塗るような真似はしたくないからだ。

だが、出かけようとした矢先、源静流から電話が入った。以前から投資を検討していた映画について、制作サイドが今日の契約を求めてきたのだ。

「どうしていきなり時間が変わったの?」灯は受話器越しに問いかけた。

「先方の責任者のお母様が重病で、午後から手術だそうです」源静流は申し訳なさそうに言った。「空見社長、申し訳ありません。契約書には社長の署名が必須ですし、細かい条件の再調整もありますので……お手数ですがお願いできませんか」

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