第196章

去っていく空見灯と唐沢雪優の背中を、橘芽依は憎々しげに睨みつけた。奥歯が砕けんばかりに強く噛み締める。

振り返ると、成田澪がまだ橘煌梨と話し込んでいるのが見えた。芽依は踵を返し、桐谷憂が消えていった方向へと足を向けた。

「桐谷憂、どういうつもり!? 気が狂ったの? 私はあなたの母親よ!」

一之瀬楓花の金切り声が、受話器の向こうから響いてきた。

先ほど免税店で買い物をしようとした際、クレジットカードが停止されていることに気づいたのだ。

カードだけではない。あらゆる決済手段が封じられていた。

なけなしの現金では支払えず、彼女は恥を忍んで免税店を後にするしかなかったのだ。

空港のロビ...

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