第204章

山下正光は写真を受け取ると、穴が開くほど丹念に観察した。

空見雄介が選んだ場所は極めて辺鄙な場所だった。建設途中で放棄されたその廃墟ビルには、ホームレスがたむろしており、完全なる無法地帯と化している。

そのため、死後十数時間が経過してからようやく、廃品回収の人間によって発見されたのだ。

だが、山下正光の目には写真のどこにも不審な点は見当たらない。典型的な転落死にしか見えなかった。

「空見さん、私には分からない。この写真のどこに問題があると言うんだ?」山下正光は尋ねた。

空見灯は椅子の背もたれに体を預け、さざ波ひとつ立たない静かな声で言った。

「通常の自殺や足を踏み外した事故なら、...

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