第212章

成田響が駆けつけた時、そこには一触即発の空気が漂っていた。

彼は考える間もなく、空見灯の目の前へ飛び込んだ。

「先生! 早く、早く手術室へ! 母さんの内臓が破裂して、心臓がもう持たない、持たないんだ!」

響の白衣も両手も、鮮血にまみれていた。指先が小刻みに震え、制御が効いていない。

血だるまになった母の姿が脳裏をよぎり、響は眩暈に襲われそうになった。

「先生、お願いだ。母さんを助けてくれ、死にそうなんだ……」

「ダメよ! パパを先に助けるのが筋でしょう! 成田響、頭おかしいんじゃないの? 知事と一般人を天秤にかける気?」

橘芽依がさらに詰め寄ろうとするが、病院の警備員と桐谷憂の...

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