第213章

さらに三十分が経過し、紗良杏の数値が完全に正常値に戻ったことを確認して、二人はようやく手術室を後にした。

空見灯が姿を現した瞬間、隅にうずくまっていた橘芽依が弾かれたように駆け寄ってきた。

「空見灯、お願い、お父様を助けて! お願いよ、土下座だってするから!」

彼女は言葉通り、空見灯の目の前で膝をついた。

「お父様がICUに入ったの。院長は、もし広範囲に感染が広がればもう助からないって……今まさに症状が出始めているのよ。お願い、彼を救って!」

橘芽依は先ほど、本気で手術室に強行突入しようとしていた。だが成田夏目が紗良杏の治療を妨害させるはずもなく、加えて桐谷憂の配下が厳重に見張って...

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