第214章

桐谷憂のマイバッハの助手席で、空見灯は深く息を吐いた。

先ほどの光景を思い出し、胸の奥が重苦しくなる。

ふいに手を握られ、彼女は驚いて桐谷憂の方を向いた。

「手が冷たいな。可哀想だったか?」桐谷憂が尋ねる。

空見灯は頷き、すぐに首を横に振った。

「可哀想とか、そういうことじゃなくて……。敵への情けは、自分への残酷さになるし、私が彼らに情けをかければ、きっとあなたまで巻き込んでしまう。ただ、心配なだけ」

彼女は躊躇いがちに桐谷憂を見つめた。

「私のこと、冷酷な女だと思う?」

彼女自身、桐谷憂の中で自分がどう映っているのか確信が持てずにいた。今日の出来事も含め、彼が抱く印象が変わ...

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