第230章

唐沢琉璃を見送った頃には、すでに時計の針は夜の八時を回っていた。空見灯は、重くなった瞼をけだるげに閉じる。

たった一日で半年分の仕事をこなしたような気分だ。全身の力が抜け落ちていくような疲労感に襲われていた。

今日のこの結果は、自分の勝利とは言えない。ただ単に、運が良かっただけのことだ。

もし最初から動画という決定的な証拠が手元になかったら、今頃は弁解すらままならなかったに違いない。

桐谷憂からの着信があった時、空見灯はすでに夢現の状態だった。

「もしもし? どうしたんですか」空見灯は時間を確認し、瞬時に眠気が吹き飛んだ。「もう十二時? いつの間に寝てたんだろう」

「俺も今、仕事...

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