第239章

「もう二時間も経ったわ。本当に入らなくていいの?」

 綾瀬美憂は病室のドアの前で、何度往復したかわからないほど落ち着きなく歩き回っていた。

 神崎曉人はそんな母を引き留めた。

「母さん、空見さんを信じよう。彼女は偉大な呪療師だ」

「あんなに若いのに、本当に大丈夫なの?」

 綾瀬美憂が空見灯を疑うのも無理はなかった。

 もっとも、夫の回復ぶりを目の当たりにした時は、この空見灯という少女には本物の力があるのかもしれないと期待したこともあった。

 だが、先ほど神崎諭介が卒倒した姿を思い出すと、その信頼も揺らいでしまう。

 彼女の目から、抑えきれない涙が零れ落ちた。

「曉人、お父さ...

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