第266章

第1章

空見灯は、神崎諭介がここに来たがる理由は、十中八九、妻がいるからだと察していた。

だが、空見灯としては彼と顔を合わせたくないのが本音だ。

前回の件は一応の決着を見たとはいえ、神崎諭介が最初から彼女を軽んじていた事実は変わらない。

怪我をさせられそうになり、あわや鉱山で死傷沙汰という事態を招いたことを思えば、胸のあたりが澱むような不快感を覚える。

少なくとも今は、毎日顔を突き合わせたい相手ではない。

綾瀬美憂は彼女の姿を認めると、慌てて出迎えた。

「空見さん、どうして入ってこないの?」

空見灯は気まずさを覚え、先ほどの神崎諭介の一件を伝え...

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