第279章

綾瀬美憂が研究所から出てくると、そこには夫の姿があった。彼女はそのあまりの溺愛ぶりに、穴があったら入りたいほどの気まずさを感じていた。

一方、同僚たちは微笑ましげに冷やかす。

「さすがは神崎さんですね。先生が行くところなら、どこへでもついていくんですから」

「確か前回の海外学会の時も、神崎さんは同じ飛行機でついてきてましたよね」

「本当に、羨ましいくらい仲がいいですね」

「どうして来たの? 医者からは家で安静にしてるようにって言われたでしょう?」

綾瀬美憂は心配そうに空見灯の方をちらりと見た。

空見灯は彼女の不安を察し、さらりと言った。

「神崎さんの顔色も悪くないですし、特に...

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