第六十六章

神崎曉人を見送るや否や、空見灯は桐谷憂に社長室へと呼び出された。

「一体何を企んでいる?」

桐谷憂は不機嫌そうに灯を睨みつけた。

本来、彼は「星芒メディア」のことなど端から眼中にない。この会社を買収したのも、単に空見灯に圧力をかけるためだった。

だが、神崎曉人との契約という一大事を、事後報告すらないまま進められたことに、彼は微かな苛立ちを覚えた。

それに、どうやってあの神崎を説得し、サインさせたのか?

さっきの神崎の、灯に対するあの柔和な態度を思い出し、憂は無性に腹立たしくなった。

「何も企んでなんかいませんよ。ただの契約です。神崎さんが契約書を持ち帰って弁護士に見せたいと言う...

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