第六十八章

空見睦月と花邑栞は、追い詰められ、観念したように上申書を書き上げた。それだけではない。法執行記録装置のカメラに向かい、あの日の出来事を洗いざらい白状させられたのだ。

二人の供述は一致していた。すべての矛先は、神崎椿に向けられていた。

空見灯は不安げな眼差しを神崎曉人に向けた。だが、その顔には何の感情も浮かんでいない。契約に影響が出るのではないか――そんな懸念が頭をよぎる。

何しろ神崎椿は、神崎曉人の親族なのだ。「大義親を滅する」などという公正な真似ができるのだろうか。

だが、自分自身もこうして親を告発しているではないかと思い直す。個人の利益が脅かされた時、血の繋がりなど脆いものなのか...

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