第九十七章

空見灯はこの食事が随分と気に入ったようだった。

あるいは本当に空腹だったのかもしれない。彼女はあっという間に、茶碗一杯のご飯を平らげてしまった。

その名残惜しそうな様子を見て、桐谷憂は自分の茶碗を彼女の方へ押しやった。

「俺はそんなに食べられないから。もし空見が嫌じゃなければ……」

空見灯は少し照れくさそうに頷いた。

「じゃあ、もう少しだけ」

桐谷憂は軽く笑うと、自分のご飯を半分ほど彼女に取り分けた。空見灯は嫌がる素振りも見せず、再び美味しそうに頬張り始めた。

その健気な食べっぷりに、桐谷憂の気分も上向いたのか、つられて箸が進んだ。

本来なら二人で六品など食べきれないと思って...

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