# 豪門相続人、愛人とのスキャンダル写真が再流出!
豪門相続人、愛人とのスキャンダル写真が再流出!
ニュースの音が結婚式会場に響き渡り、場内は一瞬にして死の静寂に包まれた。
列席者たちは顔を見合わせた後、無意識に一箇所へ視線を寄せる。
宮本雪穂は顔色一つ変えずベールをかぶり、手慣れた手つきで広報部に連絡し、ニュースを削除させる。
スキャンダル記事に写っている男性は、今日彼女と結婚した夫、桐谷真だ。
朝、ウェディングドレスに着替える際、雪穂はネグリジェの上に引き裂かれた女性用下着を見つけた。
佐藤智のブランドタグがくっきり残っているのが目に入る。
胸の内の激しい感情を必死に抑え込み、彼女は微笑んですべての来賓から祝福を受け、彼の言い訳を待ち望んでいた。
だが桐谷真は無表情にスマホを一瞥しただけで、彼女に一度も目を向けることなく慌ただしく会場を立ち去った。
雪穂は一人で式のすべてを取り仕切り、空が白み始める頃になってようやく彼の姿を目にした。
体からは酒臭さが漂い、穏やかで申し訳なさそうな表情を浮かべている。
「申し訳ない、どうしても外せない急用が入ってしまった」
「うん」
雪穂は気だるげに相槌を打ち、心労のため言葉も出ない。
二人がスイートルームへ戻る。
桐谷真が浴室へ入る間、雪穂はドレッサーに座り、鏡越しに彼の動きを追う。
彼は何げなくスーツの上着を椅子に掛けるが、上着が滑り落ちてカーペットの上に落ちた。
雪穂は手を伸ばして上着を掛け直そうとし、胸の内ポケットに口紅が入っているのに指が触れた。
自分のものではないその口紅を強く握り締め、爪が肉に食い込んでも痛みなど感じない。
クローゼットの下着はホテルスタッフの手違いかもしれない。
百通りの言い訳を自分に言い聞かせ、ただの勘違いだと思い込もうとした。
だが次々と突きつけられる証拠が、彼女の自己慰めを木っ端微塵に砕いていく。
桐谷真が浴室から出てくると、背後から雪穂の肩を抱き寄せた。
「今日は雪穂も大変だったね。早く休もう」
雪穂は鏡の中の彼を見つめ、「うん」と答えた。
翌日、披露宴会場で来賓を出迎えていると、彼のスマホがまた震え出す。
「先に行っててくれ、すぐ追いつく」
そう言い残すと、廊下の突き当たりにある非常階段の方へ歩いていく。
雪穂は頷いたものの、気づけば無意識に後を追っていた。
階段踊り場の角に、深いワインレッドのワンピースを着た佐藤京が髪を乱して立っていた。
彼女はつま先立ちで両手を伸ばし、桐谷真のネクタイを掴んで自分の方へ引き寄せようとする。
桐谷真は一歩下がり、警告めいた表情で低い声で何か囁く。
雪穂には言葉は聞こえないが、彼女の唇の動きからはっきり読み取れた。
今日の午後、クローゼットの中ではそんな態度じゃなかったくせに
言い終えると彼女はネクタイを離して一歩下がり、冷たいコンクリートの床にゆっくりとひざまずいた。
隙間からその光景を見ていた雪穂は、氷の底に突き落とされたような気分になる。
見えない大きな手に首をぎゅっと絞められ、息も詰まり、身動き一つ取れない。
桐谷真は手を上げて彼女を突き放そうとしたが、手は空中で止まり、やがて優しく佐藤京の頭に置かれた。
雪穂は視線を逸らし壁にもたれ、目を閉じる。
唾を飲み込むたび、何か熱いものが喉の奥から込み上げてくる。
彼が急ごうとしないのは、自分を尊重してくれているからだと思っていた。
だが、それは大きな間違いだった。
涙が止めどなく頬を伝い落ち、雪穂は声を上げないよう必死に口を押さえる。
妹は今も桐谷家専用のリハビリテーション施設で治療を受けている。
毎月の分子標的治療費は、一般家庭の三年分の収入に相当する金額だ。
すべての費用を負担しているのは桐谷家なのだ。
彼女の卒業研究の核心データは桐谷真のチームのサーバーに保管されており、彼女自身に独立したバックアップや閲覧権限はない。
スマホにはカップル用位置情報共有アプリがインストールされ、24時間常に起動している。
今この瞬間も、桐谷真は彼女がすぐ近くにいることを把握できている。
雪穂は生ける屍のように部屋へ引き返し、無目的に部屋番号を数え続ける。
一刻もここにいたくない、この場から消え去りたい。
気づけば一つの部屋の前に立ち、ルームカードをかざして扉を開け中へ踏み込む。
暗闇の中、唐突に人影が現れた。
反応する間もなく、温かい大きな手が彼女の手首を掴む。
力は強すぎないが、完全に身を封じられてしまう。
宮本雪穂は手前へ引き寄せられ、分厚い胸板に体を密着させる。
言い訳しようと口を開くが、相手は身を屈め熱い唇を彼女の唇に押し重ね、すべての言葉を魂の奥へ押し戻す。
暗闇の中で雪穂が辛うじて理解できたのは、ただ一つ。
自分はこの男を知らない、ということだけだ。
