第五十二章 名誉が崩れる夜

宮本雪穂はソファの端に一人座り、十分以上返信が届かないままだった。

姿勢を正し、背筋をぴんと伸ばす。手首に残された誘拐時のすり傷がうずき、わずかな動きのたびに、廃棄された生化学実験棟で受けた屈辱が突きつけられるようだった。

スマートウォッチの画面では時刻の数字が異様にゆっくりとカウントされ、位置情報通知ランプが安定した緑色に点滅している。だがその光でさえ、彼女の心底に広がり続ける焦燥感を払いのけることはできなかった。

再び時計を見下ろす。妹の雪乃の霍氏リハビリテーションセンターでの治療枠は、目に見えないロープとなって彼女の喉をきつく締め付けていた。

もし今夜の晩餐会がプロジェクト最終審査を早...

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