第2話
結婚式の会場は、ゲストで埋め尽くされていた。
私は真っ白なウェディングドレスを身にまとい、一度も会ったことのない男の腕を組んで、神父のもとへと歩み寄った。
彼の名はマッテオ、ダンテの「弟」だ。
無理やり引きずり出された代用品。
彼は終始一言も発せず、無表情でまるで精巧な人形のように振る舞っていた。
まあいい。感情のない人形と結婚する方が、心の中に他人のことを思っている男と結婚するよりはましだ。
神父は型通りの誓いの言葉を唱えた。
「誓いますか?」
私は、会場の客席から向けられる同情や嘲笑、あるいは見物人のような視線を見つめながら、はっきりと一言を口にした。
「誓います」
指輪を交換する時、マッテオの冷たい指が私に触れ、私は無意識に身を引いた。
彼は私を一瞥したが、その深い瞳には、何の感情も宿っていなかった。
式が終わり、私は一族のドナとなった。
夫に見捨てられ、代用品と強制的に結婚させられた哀れな女。
披露宴で、私はグラスを空け続けた。
アルコールは神経を麻痺させ、心の痛みをさらに増幅させた。
ダンテ、どうして私にこんなことをするんだ。
私はあなたを、あれほど愛していたのに。
乾杯の合間、私は隅に隠れてスマホを取り出し、まるで誰かに操られるかのように、心で暗記しているあの番号にかけた。
電話がつながった。
背景には波の音と、女性の優しい笑い声が聞こえた。
ヴァレンティーナだ。
「もしもし?」ダンテの声には、わずかな苛立ちが混じっていた。
「私よ」私の声はかすれていた。
彼は黙り込んだ。
「どこにいるの?」と私は尋ねた。
「海外だ。ヴァレンティーナと気分転換に」
「そう」私は笑ったが、涙がこぼれた。「知ってる?今日、私、結婚したの」
「知ってる」
彼の口調は相変わらず平静だった。
「新郎はあなたじゃなかったわ」
「うん」
「ダンテ、私の新婚生活を祝福してくれる?」
「アレッシア、一体何が言いたいんだ?」彼の苛立ちが電話の向こうから溢れ出そうとしている。「もう終わったんだ」
「終わった?」私は呟いた。「つまり、あなたの中では、私たちはずっと前から終わっていたのね」
「忙しいから、切るぞ」
彼はそれ以上一言も話そうとしなかった。
私は携帯電話を放り投げ、宴会場を飛び出し、狂ったように通りを駆け抜けた。
最後に、私はネオンがきらめくバーに飛び込んだ。
耳をつんざくような音楽、まぶしい照明、空気には煙草と酒、そしていやらしい匂いが漂っていた。
私はバーカウンターに押し寄せ、一番強い酒を注文した。
一杯また一杯、自分がどれだけ飲んだのかわからなかった。胃が波打つように荒れ、視界がぼやけ始めるまで。
一人の男が私の隣に座った。
「一人?」と彼は尋ねた。
私は無視して、飲み続けた。
「失恋したの?」
私は彼の方を向いた。男はハンサムで、目元が深く、気品があり、この騒がしい環境とはそぐわない雰囲気だった。
私は冷笑した。「あなたに関係ないわ」
彼は怒る様子もなく、グラスに酒を注ぎ、私と一緒に飲み始めた。
「俺は離婚したばかりなんだ」と彼は突然言った。
私は一瞬、呆気にとられた。
「妻が幼なじみと駆け落ちしたんだ」彼は自嘲気味に笑った。「子供まで連れて行ってしまった」
彼を見つめながら、ふと私たちは同じ境遇にあるのだと感じた。
「偶然ね」と私は言った。「私の婚約者も、幼なじみの元へ逃げちゃったの」
視線を合わせると、お互いの瞳の中に、同じような惨めさが見えた。
その夜、私たちは二人とも酔い潰れた。
極限の苦痛と奔放な欲望が絡み合い、私たちは過ちを犯してしまった。
翌朝目を覚ますと、隣には見知らぬ男がいて、床には服が散乱していた。頭が割れるような痛みが走った。
昨夜の記憶が、断片となって脳裏に押し寄せてきた。
私は勢いよく起き上がり、布団を蹴り飛ばしてベッドから降りようとした。
「起きたか?」
男も目を覚ましていた。ベッドの端にもたれかかり、悠然とした様子で私を見つめている。
「昨夜のことはなかったことにして」私は冷たく言い放ち、床に落ちていた服を拾って着た。
「アレッシアさん、実に気さくな方だね」彼は軽く笑った。
私は動きを止めた。彼は私のことを知っているの?
「自己紹介をさせてください。ニコだ。」
ニコ。
ヴァレンティーナの元夫。
私の世界は、一瞬にして崩れ去った。
