第6章

俯くと、誰にも見えない苦笑が口元に浮かんだ。

「はい」

と、私はかすかに応じる。受け入れたくない、その結果を。

その場にいる誰もが私を見ていた。その視線は、まるで形のある重りとなって私の両肩にのしかかる。白石美月の得意げな視線を感じた。彼女の指が、何気ない仕草で岩崎誠のスーツの袖口に触れている。それは彼女の勝利宣言だった。

私は踵を返した。

視界の端で、誠が何かを言いたげに、複雑な眼差しを向けているのが見えた。

だが、今となってはどんな言葉も意味をなさない。

パーティー会場を出ると、秋の夜風がひんやりと顔を撫でた。私は深く息を吸い込み、酒の匂いが染みついた少し乱れ...

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