第120章

「ん……あなた」

 藍原華月が甘えるような声でそう呼ぶと、碧井天川の表情はようやく和らいだ。

「いい子だ。さあ、もう寝なさい」

 満足のいく答えを得て、碧井天川は上機嫌だった。

 彼は彼女を腕の中に抱き寄せると、あやすように優しく肩を叩いて寝かしつけた。

 藍原華月が生理痛で体調を崩していたため、碧井天川は自ら学校長に電話をかけ、三日間の休暇を取らせたのだ。

 もし他の人間であれば、診断書もなしに電話一本で休もうなど不可能に近い。

 だが、彼女の夫は碧井天川である。校長は藍原華月の欠席連絡を受けるや否や、一秒たりとも碧井天川の機嫌を損ねまいと、受話器の向こうでペコペコと頭を下げ...

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