第130章

黒服の警備員は、無言のまま雪村詩織の前に立ちはだかっていた。その態度は雄弁だ。たとえ雪村財閥の令嬢であろうと、ここを通すわけにはいかないという意志が滲み出ている。

 たかが警備員の分際で自分を無視する態度に、詩織の怒りは頂点に達した。彼女は両手を腰に当て、金切り声を上げる。

「ちょっと、ここの責任者を呼びなさいよ! 私が中に入れるかどうか、はっきりさせようじゃない!」

「雪村様。当レストランは会員制……いえ、限られたお客様しかお通しできません。これ以上騒ぎ立てて強制的に排除されるのを望まないのでしたら、どうぞお引き取りください」

 警備員はうやうやしく出口を示すジェスチャーをしたが、...

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