第135章

 碧井奏が引きずられるようにして連れ出されると、リビングには藍原華月と碧井天川の二人だけが残された。

 碧井奏の一件で、華月は学校での不愉快な出来事をしばし忘れることができた。

 天川の視線が彼女に注がれる。その声はどこまでも優しい。

「さっき、俺に何を言おうとしていたんだ?」

 その慈愛に満ちた瞳と目が合い、華月の心臓はトクンと高鳴った。

 先ほどは本当のことを言おうとしていた。てっきり天川が学校での一件をすでに知っていると思ったからだ。だが、彼がまだ知らないのであれば、わざわざ話して余計な心労をかける必要はない。

「ううん……なんでもない」

 華月は少し後ろめたさを感じて視...

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