第145章

 碧井天川は彼女の手をひらりとかわし、薬を塗り続けた。

「っ……」

 藍原華月は反射的に身を引く。その反応に、碧井天川は痛ましげに手を止めた。

「痛いか?」

 彼の瞳に滲む心痛を見て取り、藍原華月は首を横に振った。

「ううん、痛くないわよ。こんなのかすり傷だし、すぐに治るから」

 本当はまだ痛む。特に薬が沁みる瞬間は。けれど、これ以上碧井天川に心配をかけたくなかったのだ。

「痛いなら痛いと言えばいい。我慢するな」

 痛くないはずがない。そうでなければ、あんなふうに体が勝手に反応するわけがないのだ。

 彼女は時々、気丈に振る舞いすぎる。彼はもっと、彼女に甘えてほしかった。

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