第161章

わざとか、それとも偶然か。彼がポップコーンを口に含んだ際、その薄い唇が彼女の指先に触れた。

 温かく、ほんの一瞬の感触。藍原華月の心臓がトクンと跳ね、彼女は慌てて手を引っ込めた。

 突然恥じらいを見せた彼女に、碧井天川は微かに笑う。

「どうした?」

「な、なんでもない……」

 彼がポップコーンを食べる姿に色気を感じてしまったなんて、言えるわけがない。

 もしそんなことを口にしたら、夫に変態扱いされてしまう。

 藍原華月は気を取り直し、期待に満ちた瞳で碧井天川を見つめた。

「あなた、おいしい? 甘い?」

「ああ、うまいよ」

 本来、碧井天川は甘いものを好まない。だが、彼女が...

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