第169章

碧井奏が信じられないという顔をしているのを見て、藍原華月は目を赤くし、声を詰まらせて訴えた。

「本当なの、どうして信じてくれないの?」

 碧井奏は歩み寄って彼女の額に手を当て、次に自分の額にも触れた。

「熱はないな。なんでそんな寝言みたいなこと言い出したんだ?」

 まったく取り合おうとしない彼に、藍原華月は二歩後ずさり、失望の色を浮かべて見つめた。

「私のこと、信じないの?」

 藍原華月がこれほど悔しそうに泣く姿は初めてだった。碧井奏は、叔父が浮気などするはずがないとは思うものの、今は彼女をなだめるのが先決だと判断した。このままでは本当に何か起きかねない。

「じゃあ聞くけど、ど...

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