第170章

「今すぐ叔父さんに電話して。今どこにいるのか問い詰めてよ!」

 藍原華月は充血した目で前方の信号を睨みつけていた。ここへ来るまでの間、彼女はずっと感情を押し殺していたが、隣に座る碧井奏の震える体が、車内の張り詰めた空気を物語っている。

「俺が叔父さんに? 勘弁してくれよ、義叔母さん。もし叔父さんが今、他の女とナニかしてる最中だったらどうすんだよ。このタイミングで電話なんてしたら、俺、殺されちまうって」

 叔父が浮気する確率は天文学的に低いとは思うが、万が一ということもある。そんな危険な橋は渡りたくない。

 だが、藍原華月の赤く腫れた、今にも泣き出しそうな目を見ると、胸が痛んだ。ここで...

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