第199章

 藍原華月は誤解を解こうとした。だが、家族全員から向けられる期待と興奮に満ちた眼差しを前にすると、言葉が喉に張り付いて出てこない。

「華月ちゃん、これからは食べたいものがあったら何でも言ってね。私が腕によりをかけて作ってあげるから」

「うむうむ。この孫が生まれたら、わしの持ち株を譲ってやらんとな。碧井奏の小僧が持っている分は、この孫にも持たせてやらねば」

 生まれてくる子供の将来まで勝手に決められてしまい、華月の口元まで出かかっていた否定の言葉は、完全に飲み込まれてしまった。

 夫である天川までもが、溢れんばかりの期待と慈愛に満ちた瞳で彼女を見つめている。

 華月は碧井天川の袖をく...

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