第216章

 夕日がデスクに差し込み、碧井天川の横顔を黄金色に縁取る。

 背筋を伸ばして座る彼は、書類の上で万年筆を一定のリズムで走らせていた。

 藍原華月は、吸い寄せられるように彼を見つめていた。その視線は彼の顔から離れない。

 視線に気づいた碧井天川が、ふと顔を上げて微笑む。

「顔に何かついてるか? そんなに見つめて」

 藍原華月は小首をかしげた。

「もちろん、旦那様がカッコいいからよ。いつまで見てても飽きないわ」

 碧井天川は機嫌よさそうに笑い声を漏らす。

「そうか? 付き合い始めた頃は、俺のことを『おじさん』呼ばわりしていたのは誰だったかな。それが今じゃ『カッコいい』ときたか」

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