第226章

 碧井天川は無言のまま彼女の指を取り、血が止まっているのを確認すると、ようやく安堵の息を吐いた。

「止血が先だ」

 そう言うや否や、藍原華月に口を挟む隙も与えず、彼女の手を引いてリビングへと向かう。同時に、使用人が救急箱を持って駆け寄ってきた。

 碧井天川は箱の中から消毒液と綿棒を取り出し、優しく傷口を拭っていく。

 その手つきは繊細で、痛くないようにと傷口に息を吹きかけながら処置を続けた。

「痛いか? 痛むようなら言え、もっと優しくするから」

 その慈愛に満ちた表情を目の当たりにして、藍原華月は痛みなどすっかり忘れていた。彼女の視線は、至近距離にあるその端正な顔立ちに釘付けにな...

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