第236章

 藍原華月はよろめき、あわや地面に倒れ込みそうになった。

 これ以上、戦い続ける気力など残っていない。もし夫に正体がバレでもしたら、今の状況をどう説明すればいいのか、皆目見当もつかないからだ。

 幸い、事前にマスクをつけていた。闇市(ブラックマーケット)の照明は薄暗い。あの人はまだ気づいていないはずだ。

 数人の大男たちが再び襲いかかろうとしたその瞬間、華月はしなやかな身のこなしで彼らの間をすり抜け、軽やかにリングから飛び降りると、瞬く間に人混みの中へと姿を消した。

 華月が突然逃げ出したのを見て、碧井奏と風祭鈴奈は困惑し、眉をひそめた。

「華月のやつ、どうしたんだ? 戦ってる最中...

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