第237章

 碧井奏は母の目を見ることができず、気まずそうにうつむいた。

「そんな大したことしてないだろ。ただちょっと……闇市に行っただけで」

「闇市」という言葉を聞いた瞬間、柊木汐里は目の前が真っ暗になった。彼女は震える指で息子を指差す。

「あんた、よくもそんな度胸がついたわね! あんな危険な場所に足を踏み入れるなんて!」

 息子が何かやらかしたとは思っていたが、まさか闇市になど出入りしていたとは。柊木汐里は使用人の手から毛ばたきをひったくると、容赦なく息子の体に振り下ろした。

「あんな所に行って! よくも!」

「痛っ! 母さん、悪かった! 謝るから! もう二度と行かないよ、だから叩かない...

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