第263章

「さっき口づけしたのは、俺だ」

 風祭高望は鈴奈を見つめ、熱を帯びた掠れ声でそう告げた。

 その言葉に、風祭鈴奈は驚愕して顔を上げる。

 先ほどは意識が朦朧としていて、自分から兄にキスをしたのかどうか、記憶が定かではなかったのだ。

 けれど、鈴奈が大人になってからというもの、兄はずっと意識的に距離を置いていたはずだ。それなのに、どうしてキスなんて!

 先ほどのキスの感触が蘇り、鈴奈の心臓は制御不能なほど激しく高鳴った。

 私たちは兄妹なのに。こんなことをしてしまって、これからどうやって顔を合わせればいいの。

 そこまで考えが至ると、鈴奈は気まずさのあまり顔を上げられなくなった。...

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