第267章

 碧井天川は口元に薄い笑みを浮かべた。

「そうか? どれくらい俺に会いたかった?」

「夜も眠れないくらい。講義の内容なんて、ちっとも耳に入らないくらいよ」

 その言葉を聞いて、碧井天川の瞳の奥にある笑意がいっそう濃くなった。

「お前が寂しがってるだろうと思ってな。向こうの仕事を早めに片付けて、戻ってきたんだ」

 出張先にいても、彼も同じだった。彼女が家でいい子にしているか、そればかり考えていたのだ。

「あなた、大好き」

 藍原華月は碧井天川の胸に顔を埋め、甘えるようにすり寄った。まるで飼い主に懐く子猫のようだ。

「ここは大学の正門前だぞ。大勢が見てる」

「そんなの関係ないも...

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