第268章

碧井家の祖父は不機嫌そうに彼女を一瞥した。

「腹が減ったなら先に食えばいいだろ。誰も止めてなんかいねぇよ」

 祖父に言い返され、祖母は気まずそうな表情を浮かべたが、その瞳の奥には怒気が渦巻いていた。

「そうやって甘やかしてばかりいると、いつかあの子たちを駄目にしてしまいますよ!」

 祖母は怒りに顔を歪めていた。あの藍原華月という女が、一体どんな催眠術をかけたというのか。夫がこれほどまでに彼女を庇うなんて信じられなかった。

 二人は帰宅するなり、目上の人間に挨拶ひとつせず、そのまま二階へ上がり情事に耽っているのだ。こんなことが許されていいはずがない。

「わしの息子と嫁をわしが甘やか...

ログインして続きを読む