第31章

二人が席を立ち、帰ろうとしたその時だった。背後から甲高い女の声が投げかけられる。

「あら、義妹(いもうと)さんじゃない」

 聞き慣れた、そして何よりも不快なその声に、藍原華月は思わず眉をひそめた。

 ゆっくりと振り返ると、そこにはオートクチュールのワンピースに身を包み、ブランドバッグを腕にかけた柊木汐里が、傲慢な視線で彼女を見下ろしていた。

 彼女の周りには、同じように派手な装いの女たちが数人取り巻いている。どうやら柊木汐里の友人たちらしい。

 せっかくのコーヒータイムにこんな場所で出くわすとは。藍原華月は気分を害されたが、努めて礼儀正しく口を開いた。

「義姉(ねえ)さん」

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