第42章

碧井天川はスマホを耳から少し離し、淡々と言った。

「急に決まったことだ。あの時、お前は海外にいただろう」

「駄目だ駄目だ! 俺の眼鏡に適うなんて一体どんな女だよ。まさかお前が考えを変えて、結婚なんていう墓場に足を突っ込むとはな!」

「用がないなら切るぞ」

 二日連続の激務に加え、少しでも早く戻るためにエコノミークラスに甘んじたこともあり、今の彼に友人の無駄話に付き合う気分も余裕もなかった。

「あるに決まってんだろ! 天川様、今夜いつもの店でどうだ? 俺も今日帰国したし、いつもの面子も揃ってる。あとはお前だけだ」

 碧井天川が口を開く前に、志岐律は思い出したように続けた。

「もし...

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