第67章

「なぜ、碧井奏と付き合っていることを黙っていた」

 碧井天川は、藍原華月を居丈高に見下ろしていた。その漆黒の瞳には、怒りの炎が揺らめいている。

 彼女が隠し事をしていたせいで、夫であるはずの自分は、他人の恋路を邪魔する「不倫相手」のような立場に成り下がっていたのだ。

 それは彼にとって、耐え難い屈辱だった。

 華月は呆気にとられた。言葉を失い、呆れたように碧井天川を見つめ返す。

「何を言ってるの? 私と奏がいつ男女の仲になったっていうのよ。私と彼は、ただの友達。それ以上でも以下でもないわ」

 まだシラを切るつもりか。碧井天川の瞳に失望の色が過る。

「奏が自分の口で認めたんだ。今...

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