第75章

「藍原華月? 本当ですか? 奥様のお名前が、藍原華月だと?」

 校長は自分の耳を疑った。

『私が自分の妻の名前を間違えるとでも? 学校の掲示板に彼女に関する書き込みがあったと聞いたが、犯人は特定できたのか?』

 受話器の向こうから、碧井天川の威厳ある声が再び響く。

 校長の心臓がドクリと跳ねた。天川様からの電話は、もしや問責のためなのか?

「いえ……まだですが、ご安心ください。必ず犯人を突き止め、適切に対処いたしますので」

 校長は受話器を手で覆い、見えない相手に向かって背を丸め、必死に約束を取り繕った。

『妻への影響は望まない。それと、藍原華月が私の妻であることは当面の間、伏...

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