第97章

碧井天川は口元を微かに綻ばせたが、彼女の問いには答えなかった。

「ほら、随分と長く眠っていたんだ。何か腹に入れないと、体に障るぞ」

 碧井天川から答えを聞き出せず、藍原華月はベッドを降りて彼の背中を追いかけながら、しつこく問い詰めた。

「まだ答えてないじゃない。雪村詩織と長崎唯をどうしたの?」

 天川は沈黙を貫き、焦れる彼女を放置したまま階下へ降りていく。

 一階までついて行っても一向に口を開かない彼に、華月は頬を膨らませた。

「ケチ。別に秘密にするようなことじゃないでしょ」

 華月は天川の背中に向かって盛大に白目をむいてみせた。彼が隠せば隠すほど、好奇心は募るばかりだ。

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