第2章

水曜の夜、青空放送のスタジオ。

「完璧! 絵里さん、その調子。次は司くんの方を見て!」

カメラマンの指示が、誰もいないスタジオに響き渡る。私は司と並び、青空放送の象徴的なニュース用の背景の前に立って、ポーズを調整した。

カメラのフラッシュが明滅する中、私はプロとしての笑顔を無理やり作ったが、心は荒波のようにかき乱されていた。

先週末の激しい口論から三日が経っていたが、隆が冷たく書斎のドアを閉める音は、まだ耳にこびりついて離れなかった。この三日間、私たちはまるで一つのマンションに住む他人同士のようで、交わすのは必要最低限の挨拶だけだった。

「この宣伝用の写真、いい感じに撮れてそうですね」司がネクタイを直しながら言った。「明日の番組予告に使いましょう」

私は頷き、インスタグラムに投稿するためスマートフォンを取り出した。一緒に写っている写真の中から一番構図の良いものを選び、キャプションを添える。「優秀な年下のパートナー、@五条司 と明日の特集に向けて準備万端! #青空放送チーム #経済ニュース」

投稿ボタンをタップした。

片付けを終え、私と司は一緒にスタジオを出た。エレベーターの中で、彼はまだ興奮した様子で明日の番組の詳細について話していたが、私の心はすでに家へと飛んでいた。隆はこの投稿を見るだろうか? 以前のように「いいね」を押してくれるだろうか?

タクシーがM区の夜景の中を縫うように走り、窓にはネオンの光が流れていく。スマートフォンの画面を見つめていると、「いいね」の通知がぽつぽつと入ってくるが、その中に隆の名前はなかった。

一時間後、玄関のドアを開けると、リビングではテレビのニュースが流れていた。隆はソファに座り、その顔はスマートフォンの青白い光に照らされている。

「おかえり」彼の声は硬く、指は画面を素早くスクロールしていた。

私はバッグを置き、いつものように今日の仕事の話をしようと歩み寄った。その時、彼のスマートフォンの画面に、見覚えのある何かがちらりと見えた。

待って、あれは私のインスタグラムのページ?

「私の写真、見てるの?」

隆はぴたりと固まり、画面にはまだ私と司の写真が表示されていた。彼は慌ててロックボタンを押す。その仕草は、お菓子を盗み食いしているところを見つかった子供のようだった。

「いや、これは……」彼は視線を逸らし、私の目を見ようとしない。「仕事のことだ」

奇妙な感覚が私を襲った。隆がこんなに動揺するなんてありえない。そして何より、彼が私に嘘をついたのは、これが初めてだった。彼の声には、今まで聞いたことのない焦りが滲んでいた。

「仕事のこと?」私は眉をひそめ、混乱を深めた。「いつから私のインスタを見るようになったの? SNSなんてつまらないっていつも言ってたじゃない」

「いや……君の仕事の状況を把握しておこうと思って」隆は立ち上がり、なおも私から視線を逸らし続ける。「キッチンで牛乳でも温めてくるよ」

彼はリビングから逃げるように去っていった。

その背中を見つめながら、言いようのない不安が胸にこみ上げてくる。この男は四年間連れ添った私の夫で、四年間知っているはずの相手なのに、今の彼の振る舞いはまるで他人のようだった。

なぜこっそり私のインスタを見ていたの? なぜ嘘をついたの? そして何より、なぜ司との写真を見て、あんなに慌てたの?

その夜、私たちはほとんど口をきかず、黙々と就寝前の日課をこなした。

午前二時、夢うつつの中、ベッドの横で何かが動く気配がした。本能的に、静かにしていようと決める。私は薄目を開けて、その様子を窺った。

次に見た光景に、私は衝撃を受けた。隆が、ナイトテーブルに置かれた私のスマートフォンに、そっと手を伸ばしていたのだ。

カーテンの隙間から差し込む月明かりの中、彼の真剣な横顔がはっきりと見えた。私のスマホのロックを解除する――パスワードは私たちの結婚記念日だ。彼が知らないはずがない。

心臓が胸から飛び出しそうなくらい激しく脈打ち始める。彼が何かを閲覧し、指を画面上で滑らせているのを、私はただ見ていた。私の角度からでは画面はぼんやりとしか見えなかったが、それが司くんとの仕事のグループチャットであることは分かった。

彼が私のチャット履歴を調べている?

これまで感じたことのない怒りと裏切られたという感覚が、体中を駆け巡った。私の夫が、真夜中にこっそり私のスマホを盗み見て、同僚との仕事のやり取りをチェックしている?

彼は何を探しているの? 何を疑っているの?

「隆?」私は突然目を開け、暗闇の中で私の声は凛と響いた。「何してるの?」

隆はスマートフォンを落としそうになり、その体は明らかに震えていた。その瞬間、彼の目に浮かんだのは、捕まった泥棒のような狼狽の色だった。

「スマホが震えたから、緊急の連絡かと思って……」彼の声は震え、その言い訳はあまりにも見え透いていた。

「午前二時に何の緊急連絡があるの?」私は体を起こし、ベッドサイドのランプをつけた。薄暗い黄色の光の中で、隆の顔は恐ろしいほど青白かった。「それに、私のスマホはサイレントにしてるけど」

「気のせい……だったかな」

また嘘だ。私の夫は、一夜にして嘘つきの他人になってしまった。

私は自分のスマートフォンに手を伸ばした。画面には司とのチャットが表示されている。グループチャットの中身は仕事のことばかり――明日の台本の修正、事実確認、スケジュール調整。すべてが普通の業務連絡で、不適切だったり、何かを匂わせるような内容は一切ない。

「私のチャット履歴を調べてたの?」私の声は、意図した以上に冷たくなっていた。

隆は黙り込んだ。その沈黙は、どんな言い訳よりも雄弁に真実を物語っていた。私の心は、少しずつ沈んでいく。

「ただ……君が働きすぎじゃないか心配で」

「こっそり私のスマホを盗み見て?」怒りで、声はさらに冷たくなった。「隆、一体何を探してるの?」

「何も。ただ……」

「ただ、何? 私が何か隠してるとでも疑ってるの? それとも、浮気の証拠でも探してる?」

その言葉は、口から出た瞬間、自分でも驚くほどだった。だが、それ以外の説明が思いつかなかったのだ。

隆の顔はさらに青ざめた。「絵里、そういうことじゃ……」

「じゃあ、どういうことなの?」怒りか、失望か、目の奥が燃えるように熱くなるのを感じた。「最初はこっそり私のインスタを見て、今度は真夜中に私のスマホを漁る。隆、私のこと、何だと思ってるわけ?」

彼が何も答えられないのを見て、私の心は完全に冷え切った。

その夜は、果てしなく長く感じられた。

翌朝、朝食のテーブルは息が詰まるほど気まずい空気に包まれていた。私は機械的にトーストを切りながら、昨夜の光景を心の中で何度も再生していた。

隆は経済ニュースに集中しているふりをしていたが、彼の意識が画面に向いていないことは分かっていた。時折、私に向けられる視線を感じる。その視線が、私をひどく居心地悪くさせた。

夫の異常な行動を分析し始めた。

第一に、急に私の仕事に興味をなくし、よそよそしくなったこと。第二に、こっそり私のSNSを監視していること。第三に、真夜中に私のスマホとチャット履歴をチェックしたこと。

この三つの点を合わせると、意味することは一つしかない、彼は証拠を探している。

だが、何の証拠? 私はこの結婚を裏切るようなことは何もしていない。仕事のグループチャットは完全に正常だし、司との関係も純粋に仕事上のものだ。

まさか……まさか隆は、私が有罪だと、すでに心の中で決めつけている?

さらに恐ろしい考えが、ふと頭をよぎった。彼は、私が過ちを犯すのを待っているのではないか?

その考えに、背筋が凍る思いがした。私は顔を上げ、注意深く隆を観察する。彼の顎は緊張し、目は時折私の方をちらりと見るが、その眼差しは……妻を見る男のものではなかった。それはまるで、観察し、分析し、何らかの欠点を探しているかのようだった。

「今日、司くんと何か予定はあるのか?」隆が突然口を開いた。口調はさりげないが、その裏に探るような響きがあるのを私は聞き取った。

私はナイフとフォークを置き、彼の顔をまっすぐに見つめた。昨夜の出来事の後では、彼のどんな「さりげない」質問も、もはや信じる気にはなれなかった。

「どうしてそんなこと聞くの?」私の声は冷静だった。「私の仕事のスケジュールが気になるの? それとも、何か別のことが?」

「ただ……仕事のことが心配で」

「心配?」私は思わず冷たく笑った。「昨夜のことがあって、まだ私があなたの『心配』を信じると思ってる?」

隆の表情は、さらに険しくなった。

「じゃあ、何て言えばいいんだ?」彼はコーヒーカップを置き、声に苛立ちの色を滲ませた。「妻の仕事のスケジュールを聞くことさえ、もう許されないのか?」

「もちろん聞いてもいいわ。でも、こんなやり方じゃない」私は立ち上がり、急に疲れを感じた。「普通の心配なら、直接聞くものよ。こっそり監視したり、真夜中に盗み見たりするんじゃなくて。隆、あなたの行動はまるで他人みたい」

「他人?」

「ええ、他人よ」私はバッグを手に取り、家を出る準備をしながら、大きな失望が胸に込み上げてくるのを感じた。「こっそり私を監視して、嘘をつくこの男が誰だか知らないけど、少なくとも私の知ってる藤原隆じゃない」

ドアに向かって歩き、ふと振り返った。青ざめた顔で朝食のテーブルに座るこの男を見て、私の感情はあまりにも複雑で言葉にできなかった。

「何か言いたいことがあるなら、直接言ってほしい。私は探り合いは好きじゃないし、特に監視されるのはごめんだわ」

ドアが、バタンと閉まった。

青空放送に向かう道すがら、頭の中は混乱していた。結婚して四年、隆のことはすべて知っていると思っていた。でも今、私は彼のことを、もしかしたら全く知らなかったのかもしれないと気づき始めていた。

なぜ彼は私を監視しているの? 何を疑っているの? 司のせい?

そう思い、私はスマートフォンを取り出して仕事のグループチャットを確認した。司が今日の番組の進行表を送ってきていた。その口調はいつも通り、プロフェッショナルで友好的だ。

司との関係は、本当にただの仕事仲間だ。不適切だったり、何かを匂わせるようなやり取りは一度もなかった。もし隆が、私に男性の同僚がいるというだけで疑い始めているのだとしたら、この問題は私が想像していたよりもずっと深刻だ。

何より怖かったのは、隆がもう私を信頼していないのではないかと、私自身が疑い始めていることだった。

そして、信頼のない結婚が、一体どこまで続くというのだろうか?

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