第4章

三日間。

隆がすっかり様変わりしたことに気づいたあの週末から、丸三日。私たちの冷戦も、まったく同じ期間続いている。

彼は毎朝五時にジムへ向かい、帰宅すれば書斎に直行。夕食すら、別々にとっていた。

じゃあ、私はどうしたか? 彼に同じ思いをさせてやろうと決めたのだ。

もう私のことなど気にもかけず、どこか他の女のために自分を変えようとしているのだから。それなのに、どうして私が哀れで、ないがしろにされた妻の役を演じ続けなきゃいけないの?

金曜の夜。私は鏡の前に立ち、あえてあの深い青のイブニングドレスを選んだ。

去年、彼の誕生日に隆が買ってくれたドレス。その色は私を夜空で一番輝く星のように見せる、と彼は言った。

今となってはなんて皮肉なことだろう。かつて大切にしてくれた星は、もう彼の一瞥すら引くことはないのだから。

念入りに化粧を施し、カールした髪を肩に流すと、我ながら輝いて見えた。今夜は青空放送の祝賀パーティー。隆がいなくても私は輝いていられる、そう証明するための絶好の機会だ。

イブニングクラッチを手に取り、リビングへと向かった。隆はソファに座って経済ニュースを見ており、私の足音が聞こえても顔を上げようともしなかった。

「今夜、局で祝賀パーティーがあるの」わざと咳払いをして、彼の反応を待つ。「帰りは、すごく遅くなるかもしれないわ」

彼の視線はテレビ画面に釘付けのまま、こちらを見ようともせずに言った。「ああ、楽しんでくればいい」

それだけ? 心が急速に冷えていく。以前の隆なら、きっと顔を上げて、私の服装を褒め、誰とどこへ行くのか尋ね、気をつけるように言ってくれたはずなのに。今の彼は、私に一瞥さえくれようとしない。

「司さんも一緒なの」ほんの少しでもいい、嫉妬や心配の欠片でも見せてほしくて、わざとその名前を口にした。

「そうか」

まるで天気予報でも聞いているかのような、恐ろしいほどに平坦な声だった。

胸の中で、何かが砕け散るのを感じた。彼はもう、本当に私のことなんてどうでもいいんだ。このまま踵を返して出ていってしまいたかった。でも、内側から湧き上がる怒りが、私に最後の一押しをさせた。

「隆」

ようやく彼は顔を上げた。けれど、その眼差しは……見知らぬ人のようなその冷たさは、目の前の男が自分の夫だとは信じられないほどだった。

「何か用か?」

まるで赤の他人に話しかけるような口調だった。

口を開きかけたが、言葉が出てこなかった。どうしてこんなことになったの、と。まだ私のことを愛しているのか、と。一体どの女のために、あなたは変わったの、と。そう問いただしたかった。けれど、彼の無表情な顔を見つめているうちに、すべての勇気はあっという間にしぼんでしまった。。

「ううん、何でもない」私は背を向けた。「行ってきます」

マンションのドアを一歩出た瞬間、涙がこぼれそうになった。四年間の結婚生活が、こんなものになってしまうなんて。

M区の高級ホテルにあるパーティー会場は、賑やかな音楽と、あちこちで交わされるグラスの音で満ちていた。青空放送のチームは個室を貸し切り、今月の記録的な視聴率達成を祝っている。

「絵里! 今夜、息をのむほど綺麗よ!」玲子がシャンパングラスを片手に近づいてきた。「そのドレス、あなたにぴったりね!」

私は無理に笑顔を作って彼女とグラスを合わせた。いつもなら二杯がやっとなのに、今夜は違った。家にいるあの冷たい男を一時でも忘れるには、神経を麻痺させてくれるアルコールが必要だったからだ。

「さあ、我らが視聴率の女王に乾杯!」プロデューサーの大輔が高らかに叫んだ。

私はグラスを掲げ、一気に飲み干した。シャンパンが喉を焼く。でも、この痛みは胸の痛みよりずっとましだった。

「絵里さん、少しペースが早いんじゃないか」隣から、司が心配そうな眼差しでそっと声をかけてきた。「今夜、何か辛いことでもあった?」

目の前の二十六歳の青年を見つめる。心配そうに気遣ってくれるその端正な顔立ちは、ひどく温かい。隆のあの冷たい態度とは、あまりにも対照的だ。

どうして夫より、会社の同僚の方が私のことを心配してくれるのだろう。

「大丈夫よ。ちょっと、家のことでね……」三杯目のシャンパンに手を伸ばすと、司に優しく手首を押さえられた。

「もうかなり飲んでるよ」彼の声は優しい。「よかったら、バルコニーで少し風に当たらないか?」

「平気だから」私は彼の手を振り払うと、グラスの中身を一息に呷った。「本当に、大丈夫だってば」

でも、自分が少しも平気でないことなど、自分が一番よく分かっていた。隆は今頃何をしているんだろう。どこかの女とメッセージを送り合っているの? それとも、明日会う約束でもしているの?

「絵里さん……」

司がなおも何か言おうとしたが、その声は同僚たちの歓声にかき消された。

「もっと飲もうぜ! 今夜は酔い潰れるまで帰らないぞ!」

無理やりもう一杯飲まされた。アルコールで視界がぼやけ始めたが、心はこれまでにないほど軽やかだった。少なくともここでは、私はまだ成功者である藤原絵里であり、誰もが羨み、尊敬するアンカーなのだ。

家で、ないがしろにされた妻でいるのとは違う。

パーティーは夜遅くまで続き、私はもう千鳥足だった。司が何度か私を送って帰ろうとしてくれたが、そのたびに断った。彼に家まで送らせるわけにはいかない。そんなことをすれば、隆にさらなる誤解の種を与えかねない。

「送らせてくれ。そんな状態じゃ危ない」司が心配そうに私を見つめる。

「ダメ!」私はあまりに素早く拒絶した。「一人で帰れるから」

隆にどんな口実も与えたくなかった。すでに彼の愛を失ってしまったのだ。せめて彼の尊敬まで失うわけにはいかない。

午前様になった頃、ようやく同僚たちに別れを告げ、一人でホテルを出てタクシーを拾った。

深夜のM区の通り。ネオンの光が目の前で滲んだ線になる。後部座席に身を預けると、世界中がぐるぐる回っているような感覚に陥った。

「お嬢さん、着きましたよ」運転手の声に、私は朦朧とした意識から引き戻された。

ドアの取っ手を探るが、指がうまく動かない。なんとかドアを開け、よろめきながら車を降りた。

ヒールが地面に着いた瞬間、バランスを失った。

「きゃっ!」

歩道に激しく転倒し、膝を粗いコンクリートに打ち付けた。突き刺すような痛みが、少しだけ私の酔いを覚ましてくれた。クラッチバッグが地面に落ち、中身が散らばる。口紅、鍵、携帯……。

なんとか起き上がろうともがき、自分の姿を見下ろした。深い青のイブニングドレスは破れ、膝からは血が流れ、髪は乱れている。ひどく惨めな格好に違いない。

「隆は、私のこと心配してくれるかしら?」そう呟いてから、自嘲気味に笑った。「今頃、他の女のことでも考えてるんでしょうね。私のことなんて、気にするわけないじゃない」

痛みをこらえながら散らばった持ち物を拾い集め、身なりを整えようと試みた。隆が気にも留めないだろうと分かっていても、こんな無様な姿を彼に見られたくはなかった。

鍵で慎重に玄関のドアを開け、物音を立てないようにと祈った。

リビングは静まり返り、薄暗い常夜灯だけが点いている。隆はもう寝ているようだ、と静かに安堵のため息をついた。まずは膝の傷の手当てをして、それからこの破れたドレスを静かに着替えなければ。

階下のバスルームにつま先立ちで向かい、そっとドアを閉めて明かりをつけた。鏡に映った自分の姿に、思わず息をのむ。乱れた髪、滲んだ化粧、破れたドレス、そして血の滲む膝。本当に、ひどい有様だった。

タオルを取り、慎重に膝の傷を拭う。冷たい水が擦りむいた皮膚に触れ、思わず「うっ」と痛みに声を漏らしてしまった。隆を起こしたくなくて、声を抑えようと努めた。

その時だった。バスルームのドアが、突然押し開けられた。

弾かれたように顔を上げると、まだ書類を手にした隆が戸口に立っていた。どうやら書斎から出てきて、寝室へ向かう途中、バスルームの物音に気づいて様子を見に来たのだろう。

彼が私を見た瞬間、その表情が困惑から驚愕へ、そして、今まで見たこともないようなある種の苦痛へと変わっていくのが分かった。

彼の視線は、私の乱れた髪から破れたドレスへ、そして私が手当てしている膝の傷へと移り、最終的にシンクの中の血のついたタオルに注がれた。彼が拳を固く握りしめ、血管が浮き出て、顎の筋肉が引きつるのが見えた。

さらに悪いことに、真夜中にバスルームでこっそりと傷の手当てをする私の行動は、彼の目には証拠隠滅にしか見えなかっただろう。

「隆、私……」説明しようとしたが、アルコールで頭がぼんやりしていて、言葉が途切れ途切れの音節になってしまう。「ただ、ちょっと……」

彼は何も言わず、ただ静かに私を見つめていた。その瞳に宿る苦痛は、あまりにもはっきりと、そして深く見えた。

その瞬間、私は彼が何を考えているのか、はっきりと理解した。

彼は私が浮気をしたのだ、と。

そして、この深夜の帰宅、乱れた姿、バスルームでの密かな「証拠隠滅」、彼にとって、これこそが何よりの証拠なのだと。

説明したかった。真実を伝えたかった。でも、彼の瞳に浮かぶあの絶望的な苦痛を見て、私はふと、もしかしたらこれが一番いいのかもしれない、と思ってしまった。

もし彼が本当に私をもう愛していないのなら、もし彼が本当に他の女のために自分を変えているのなら、この誤解が、私たちの間の苦しみを終わらせてくれるかもしれない。

私たちはそうして見つめ合った。空気は不信と誤解で重く、張り詰めていた。

その夜、私たちの結婚生活が、崖っぷちに立たされたことを、悟った。

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