第7章

その夜は、一睡もできなかった。

翌朝になれば、どうすべきか考える時間もあるだろう――そう思っていたのは、甘い考えだった。

「ルッソ夫人」

ドアをノックした使用人の顔は青ざめていた。

「ルッソ様がお呼びです。書斎へ。今すぐに」

その言い方に、背筋が凍りついた。

ヴィンセントは巨大な机の後ろに座っていた。朝日の逆光が、彼を人間というより死体のように見せている。だが、その目は鋭かった。危険な光を宿し、生々しく輝いている。

「座りなさい、アイリス」

私は座った。膝の上で手が震えていた。

彼は机越しに、一つのフォルダを滑らせた。

「開けろ」

中に入っていたのは、医...

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