第106章 襲撃

洞窟の幅は五メートルほどになった。

この不気味な洞窟は、まるで錐《きり》のようだ。奥に進むほど、洞窟は広くなっていく。

そして、俺たちが入ってきた入り口が、その錐の先端というわけだ。

先ほどまでは、まだいくらか陽の光が差し込んでいたが、今や洞窟の奥は手を伸ばしても五指が見えぬほどの暗闇に包まれていた。

夜目が利く俺でさえ、かろうじて身の回り二メートルほどの範囲しか見えない。

水原琉衣は言うまでもなく、完全に俺の服の裾を強く掴んでいなければ歩けない状態だ。

俺はますます古川陽たちの安否が気になってきた。

地面いっぱいに残された慌てふためいた足跡は、古かった。古川陽たちがこの洞窟に入...

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