第112章 逃れる

俺の殺意のこもった声を聞き、木川武は恐怖に顔を引きつらせながら立ち上がった。

先ほど俺が黒い怪物を斬り殺していた場面は、死んだふりをしていたせいで見てはいなかっただろうが、これだけ多くの黒い怪物の死体が転がっているのが何よりの証拠だ。

「王、いや、西村さん! た、助けてくれ! 殺さないで!」

木川武は泣き叫ばんばかりだ。

しかし、なぜ先ほど黒い怪物たちは木川武を襲わなかったのだろうか。まさか、あいつの小便臭さが嫌われたのだろうか、と少し気になった。

「こっちに来い!」俺は怒鳴りつけた。

木川武は不承不承といった様子だったが、それでも重い足を引きずってこちらへ歩み寄ってきた...

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