第16章 天を逃れる

木の枝にうつ伏せになった私は、背中が火のように痛んでいた。この激痛でようやく緊張が解け、思わず呻き声を漏らしてしまう。

「くそっ、今のはマジでやばかった。あの一撃で速度が落ちなくて良かった。そうでなきゃ本当にあの熊の餌になってたところだ」

ほっと一息ついたのもつかの間、木の下の熊が何故か突然立ち上がって咆哮し始め、数人がかりでようやく抱えられるような大木に激しく爪を立てて攻撃し始めた。

熊が木を打つ瞬間、大木には掌跡が次々と残り、木屑が舞い散った。木の上にいる私から見ても、それは恐ろしい光景だった。

しかし、この木はあまりに巨大で、熊がこの巨木を打ち倒そうとするなら、少なくとも数日は...

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