第44章 渡辺を殺した奴がまた来た

腕の傷は想像以上に早く治り、一日後には右手はほぼ完全に回復していた。

だが、突然の豪雨が水原琉衣を探す計画を遅らせることになった。

台風の時の大雨を見たことがないわけではない。でも、今降っている雨と比べれば、まるで比較にならないほどだ。

豪雨による洪水は無数の大木を真っ二つに折り、その濁流の中では熊やチーターなどの動物たちが必死にもがいていた。さらには先日私を襲ったあの大蛇よりも太い蛇が流されていくのも見えた。

今避難所を離れれば、危険は何倍にも増すだろう。

洪水の水位が刻々と上がるのを見ながら、私は水原琉衣のことがますます心配になった。

古川陽がテントの幕を開けて入ってきた。落...

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