第50章 激戦

「古川!」

私は悲痛に叫び、咄嗟に左手の軍用ナイフを手裏剣のように投げつけた!

ズブッ!

軍用ナイフは空中から狼の眼球に突き刺さり、悲鳴一つ上げただけでその狼はドシンと倒れ、地面で痛みに身を捩っていた。

古川陽に迫っていた最大の危険は排除できたが、彼自身も左右に斧を振るい、両脚に噛みついていた狼の首を切り裂いていた。

二匹の狼は死んだものの、筋肉の記憶だけが残り、頭が古川陽の太ももの付け根に食らいついたままで、彼の動きは著しく制限されていた。

私はこの隙を逃さず、古川陽の元へ駆け寄り、彼の前にいた狼に全力で拳を叩き込んだ。

その一撃で狼の頭蓋骨は陥没し、地面に倒れた狼は口から鮮...

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