第51章 狼の王を倒す

「こ、これは一体何の怪物なんだ?」

この異様な光景を目の当たりにして、精神力の強い古川陽でさえ恐怖に震え、声が震えていた。

これは人間の本能、未知の恐怖に直面したときの本能だ。

私は古川陽よりはましだった。恐怖は感じていたが、少なくとも冷静さを保っていた。

爪を失った狼の王からは、以前よりもさらに危険な気配を感じた。

私はネパールナイフを古川陽に投げ渡し、片手で軍用ナイフを握りしめ、低い声で言った。「もう俺はお前を守る余裕がないかもしれない!」

言葉が終わるか終わらないかのうちに、狼の王が再び猛然と飛びかかってきた。爪を一本失ったとはいえ、その速さはほとんど変わっていなかった。

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