第55章 崩れた洞窟

避難所は緩やかな丘の上に建てられていた。元々密集していなかった木々は、すでに伐採されてフェンスとして使われていた。

避難所の裏に回ると、地形が緩やかに上っていく。

私は地面に古澤礼子が残した足跡を容易に見つけることができた。

「足跡があるなんて良かった!」

ほっと息をついた。足跡があれば方向がわかり、探す時間を大幅に短縮できる。

そうすれば、古澤礼子が危険にさらされる可能性も少なくなる。

しかし、足跡を追って山を十数分ほど登り、ある茂みを通り過ぎたところで、足跡は白紙に描かれた鉛筆画のように突然消えていた。

茂みの向こうの道はひどく泥濘んでいて、通ったのならば必ず痕跡が残るはず...

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